パナソニックのドラム式洗濯機NA-VX9800の天板と分解掃除

7年目の洗濯機は、どこか疲れたように乾燥を怠けるようになった。洗い終わったタオルを取り出すたび、わずかに残る湿り気が心をざわつかせる。原因を探ろうとフィルターを覗き込むと、ヒートポンプのフィンが埃にまみれ、暗い奥底で息絶えたように沈黙していた。

「パナソニックの洗濯機はヒートポンプユニットが上部にあり、清掃が容易だ」との噂を頼りに、YouTubeでVXシリーズの解説動画を見ながら分解を試みた。天板を外す手順は簡単だと言う。上部のネジを外せば、すぐに開くはずだった。だが、天板は何事もなかったかのように固く閉ざされたままだった。

力を込め、天板を押し上げたとき、かすかな音が響いた。「パキリ」と何かが折れる音。わずかに浮いた隙間を見て胸が躍ったが、それは前面の爪が壊れただけだった。

失敗を悔やみながらも、なお手を止めなかった。踏み台を用意し背面を覗き込んだ瞬間、隠された事実に気がつく。VXシリーズでも9800型の奥には、裏側にひっそりと隠れるネジが二本あったのだ。そのネジを外すと、天板は何事もなかったかのように静かに開いた。

分解してみると、思いがけぬ事実が浮かび上がった。まず目についたのは、脱水受けカバーの破損である。カバーのわずかな隙間に忍び込んだほこりが、じわりじわりと蓄積し、ついにはカバーを膨らませていた。その膨らみが、高速回転するバランサーとふと触れ合い、ひそやかに削られ、溶かされていったのだろう。バランサーには、溶けたカバーの名残が黒くこびりついていた。

このカバーは、注がれる水の流れをつくる。小さな穴が、静かに四方へ水を導く。その穴が破れれば、水は散り、均しく降り注ぐことはない。そんな異変を、メーカーもすでに知っていたらしい。新しい部品は、もう膨らむことはないという。ひそかに改良された「脱水受けカバー AXW3224-9CW0」は、ただ淡々と水の道を守るために作られているのだった。

NA-VX9700の分解掃除。プロ。

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